経済学トップ・フィールド誌の掲載本数の推移

以前知り合いの産業組織研究者が、「経済学の色々なトップフィールド誌が掲載本数を増やしているのに、RANDは増やしていないからIO研究者は不利になっている」などと言っていたので、AIを使って調べてみた。以下が簡単な、年・ジャーナルごとの掲載本数の時系列

経済学トップフィールド誌の掲載本数(ChatGPT 5.5 Pro調べ)

思ったこと:

  1. RANDだけでなくJUE、JOLEも少ない。
  2. 労働経済学については、JHRも含めると何か違ったものが見えるかもしれない(けど僕は労働経済学者じゃないので興味なし)。
  3. 特集号を組むジャーナルは本数の上振れがすごいっぽい。
  4. 綜合誌やAEJ、QE・TEを入れるとまた違った景色が見えるかもしれないが、面倒くさくてやらなかった。

 

こちらにコードブックのリンクあり。

こちらに取得データのCSV、コードブック、プロットの図の全てが入ったフォルダのリンクあり。

 

- YouTube

 

AIを用いた作文

最近はAIを使ってライティングをしている。個人的に思うことは、AIは一見すると流暢で論理的な文章を書くが、論理が繋がっているように見せるために曖昧な意味の表現を使うことが多い気がする。意味がタイトに絞られていないから流暢に繋がるのである。これをちゃんと絞る作業を(AIに改訂させるにしろ自力で改訂するにしろ)行うスキルが、これからのライティングスキルの一部となるのかもしれない。

応用ミクロ理論研究者になるために必要なスキル

応用ミクロ理論研究のメカニカルな作業は、

  • ゲーム(または意思決定問題など、とにかく数理的に定義される問題)をちゃんと定義する
  • 均衡(またはそれにとってかわる解概念)を定義に従って解く(特徴づける)

この二つである。よってこの二つの作業ができれば、形式的には応用ミクロ理論研究者になれる。優れた応用ミクロ理論研究者になるためには他のものも必要かもしれないが、応用ミクロ理論研究はゲームを定義できて、均衡を定義に従って解ければよい。

 

こんなの簡単じゃないか?と思うかもしれないが、意外と多くの人が戦略集合・情報集合・タイミング等の詳細をちゃんと定義せず(果てにはしばしば自分でも詳細をよく考えず)にモデルを記述するし、均衡の定義に沿っているかどうか分からない方法で均衡のようなそうでもないような何かを特徴づけている。これは大学院生の発表などというレベルではなく、博士号取得者の雑誌投稿論文でも発生する。

 

博士号取得者でもゲームをちゃんと定義できず、均衡を解けないとなると、実はこの作業は簡単じゃないのかもしれない。

 

数学をちゃんと勉強する、というのは、こういう定義を詰める作業に習熟する一つの効率的な手段なのだと思う。応用ミクロ理論ができなくて困ったら、Baby Rudinを写経しよう。

改訂要求

経営科学(と日本語で書くと別の何かと勘違いされるだろうか?)から改訂要求がきた。良いニュースのはずだが、ここ数年いいジャーナルからR&RやR(eject)&Rのあとリジェクトされる経験を続けたせいで、「あ、そう」くらいの感じで特に興奮することもなかった。アクセプトされたら興奮すると思う。

ABDC Journal Quality List

ABDC Journal Quality Listが2025年にレビューされ、レーティング(A*, A, B, C)が改訂される予定らしい。

経済学のジャーナルで重要そうな改訂は以下の通り。分野のトップとまではいかないが定評のある雑誌のレーティングが総じて上がった、という感じだと思う。IO研究者としては、IJIOとJIndeEcがA*になったことは正当な評価であり歓迎したい。JEMSがAのままなのは、残念だけれども境界として仕方ないのかもしれない。

Upgrade:

  • Econometrics Journal: A→A*
  • International Journal of Industrial Organization: A→A*
  • International Tax and Public Finance: B→A
  • Journal of Financial Stability: A→A*
  • Journal of Population Economics: A→A*
  • Journal of the Association of Environmental and Resource Economists: A→A*
  • Labour Ecocnomics: A→A*
  • Review of Development Economics: B→A
  • The Journal of Industrial Economics: A→A*
  • World Development: A→A*

Downgrade:

  • Journal of Institutional and Theoretical Economics: A→B
  • Operations Research Letters: A→B

全体像が気になる人は冒頭のリンクから改訂案を見てみるとよい。

Behavior-Based Price Discriminationの論文

Economics LettersにConditioning Prices on Purchase History when Sellers Collect Customer Data が掲載された。大学院で指導していた筆頭著者の修士論文をベースに、(合意の上)共著化して僕からも貢献を加え、投稿論文化したもの。

1月11日に投稿して、1月26日に採択。投稿から採択まで過去最速だった。

 

指導学生の論文に対して「これはパブリッシャブルだと思う」とよく言っているのだけれど、実際にパブリッシュできることを示せたのがよかった。